Got Some \W+ech?

Could be Japanese. Could be English. Android, セキュリティ, 機械学習などをメインに、たまにポエムったり雑感記載したりします。

技術書典4に出店した as セキュア旅団

技術書典4にサークル名「セキュア旅団」として、新著「俺らの愛したセキュリティ」を販売しました。

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お立ち寄りくださった皆様、ご購入いただいた皆様、誠にありがとうございました。万が一入手できなかった方のためにbooth(など)でダウンロード購入できるようにする予定ですので、お待ち下さい。

本投稿では、備忘録として次の2点についてまとめます。

  • 執筆内容
  • サークルとして取り組んだこと

執筆内容

「セキュア旅団」は自分の好きなセキュリティ技術をアウトプットしていくことを目的としています。世の中にインパクトを与えるか、インフルエンサーになるか、そういった結果は大事ではなく、ただアウトプットを至上とします。そんな「俺得」技術書を今回も書かせて頂きました。

前回の「ニッチセキュリティー明星へ登る」の著者3人チームに情シス得意マンが加わったことで、質的にもページ数的にも肉厚な技術同人誌を世に出せました。本誌は次の4章からなっています。

  • PowerShellによるWin32 APIプログラミングの基礎
  • 実践Metasploit API
  • Beyond Corp by Google
  • 相互連携する金融時代 - FAPI the Security

最初の2章はペネトレーションテスターに必須となる技術です。1章目は最近のExploitで多様されているPowerShellプログラミングの基礎です。ペネトレーションテスター向けに書かれていますが、情シスによる管理のコード化という観点からも非常に有用そうです。なお、この著者は1人で53p仕上げています。意味がわからない。怖い。

2章目はペネトレーションテスターなら一度は触ったことがあるであろうMetasploitのRPC APIの叩き方を取り上げています。Pythonクライアントを使って、効率的なペンテストをやりたいかたにはうってつけではないでしょうか。私はGolangで叩いて見ようと思いました。

そして、情シス待望の書が3章目です。みなさまの社内セキュリティはどのような環境でしょうか?USではネットワーク境界でセキュリティを担保しないゼロトラストネットワークスというアーキテクチャが主流になりつつあります。特にGoogleはそれに関する論文を「Beyond Corp」という名前で出すほど進んでおり、VPNに頼らない社内アクセスを実現しています。本章はその論文を日本語にまとめたものです。

最後の4章「相互連携する金融時代 - FAPI the Security」を私が執筆しました。まだ登場したばかりでその将来性は未知数ですが、いままで1サービス内に閉じていた金融系の経済圏をよりオープンにするにあたって策定されたFinancial API(FAPI)のRead Onlyなセキュリティ仕様を、OAuth 2.0やOIDCのrfcとともに読み解いたちょっと頑張ってしまった作品です。

この用に様々な、かつ尖ったセキュリティ技術の知識を結集させたものが、新刊「俺らの愛したセキュリティ」です。内容がわかったところで、次はどのように本著を作成から販売までしたかご説明します。

サークルとしての活動

メンバーに声をかけたのは大体1月です。しかし、私自身の転職やDroidKaigiでの講演により、本格的な方針を決定したのは2月中旬ぐらいでした。そこから各々が原稿をRe:Viewで書き、4/21にマージ・販促体制を構築し当日に臨みました。方針は次の通りです。

  • 電子書籍オンリー
  • ダウンロードカードによる配布
  • 1000円
  • 表紙担当を起用

電子書籍オンリーにしたのは、主に2つの理由があります。まだノウハウがないのに、期待値とことなる分量によって在庫リスクが発生することを恐れたを抱えたくなかったことが理由の1つです。もっと大きな理由は、ハードを準備することで圧迫されるスケジュールが大分厳しかった事です。正直、創業2年目のスタートアップに転職したてで、サークルのマネージメントに割く余力はなかったので、これはただしい判断だったと思います(そもそもマネージメント苦手です)。

ダウンロードカードを準備したのは、前回の反省からです。前回も電子書籍オンリーでしたが、QRコードを購入者に読み取ってもらう販促形式でした。これは意外と時間がかかります。それぞれのカメラの精度が異なりますし、混雑を極めている中でパラレルにさばくことは困難でした。何より①スマホを取り出す②アプリを立ち上げる③照準をあわせる④読み込む、とアクション数が多くなります。他にも、読み込んだあとなんらかの拍子にダウンロードをできなかった場合、支払った料金がむだになってしまうリスクがありました。

そういった反省から、1000円札と 交換する 形で入手できるダウンロードカードにし、これらの課題を解決しました。ただ、予想よりずっと来場者が多かったため、途中でダウンロードカードがなくなり、急いで擦りに行くという見通しの甘さを露呈してしまいました。次回のイベントに活かそうとおもいます。

また、前回は500円でしたが、今回は1000円にしました。これは価格そのものより、やはりオペレーションの観点からの改善です。基本的に1000円で支払う人が多い(という印象をもっている)技術書典で硬貨を使うと、お釣りが財布を物理的に圧迫します。

また、お釣りをわたすことはそれだけ価値交換のプロセスが多くなることだと思います。従って、人口密度の高いところではUX的に良くないと判断しました。技術書典はお祭りなので、出店から出店にすぐ移動できたほうが良い体験ではないでしょうか? そういった体験を考えた結果、一枚の交換券だけで欲しいものが手に入る方式にしてみました。こういった価格設定と先述した配布方法により、まあまあの体験を提供出来たかな、と思っています。

尚、公式から「後払い」アプリがリリースされていましたが、アプリ支払いと現金払いからみると、売上的には 2:8でした。後払いアプリもモダンではありますが、①スマホ取り出しからの④読み込み⑤それをサークルにみせて⑥サークルはそれを渡す、という手続きを踏まねばなりません。その点、現金は①千円を取り出す②渡す③サークルは本を渡す、とスピーディーです。したがって、しばらく現金前提で販売するのが良いな、と思いました(もちろん、後払いは引き続き利用)。

表紙担当としては、今回、正式にデザイナーさんに依頼をしました。まあ、現職の同僚なんですけど。サークルのコンセプトを伝えつつ、表紙のキャラをシャチにしたい、という良く分からない要望を、完全な形に落とし込んでくれました。ありがとうございます!お陰でサークル近くにおこしいただいた皆様が歩を止めて、興味を持ってくれるようになっていたと思います。

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しかし、どちゃくそ格好よくないですか?シャチの可愛さとかっこよさが見事に共存していますね。青の濃淡をつかいわけることで、シャチが推進の浅いところへダイナミックに3D移動することを表現しているようです。他にも細かいセキュリティ関連のアイコンがキュートすぎます。凄い。すごすぎる。

最後に

もっと「このブースに寄ってよかったな〜」と思えるような体験を作ろうと思っています。具体的にはダウンロードカードをリッチにしたり、物理本を出すことです。先述の通りデザイナーさんに入ってもらうなど、一見して手にとりたくなるような体験を作って行くと同時に、セキュリティといえば「シャチ本」と誰もが思いつく世界にしていきたいと思います。

以上、今後とも宜しくお願いします。

P.S

  • 販売数は336部。前回は90部くらいでした。
  • シャチは私の趣味です。
  • Boothでのダウンロード販売に向けて動いています。